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財務・会計の基礎

学習のポイント

シスアド試験午前問題では,会計に関する問題は多く出題されます(シスアド以外の試験も含む選択問題は,「選択問題-会計」にあります)。この分野は,比較的少ない事項だけを理解していれば正解が得られるので,練習しておきましょう。ここでは,試験でよく出題される分野に限定します。

キーワード

貸借対照表,損益計算書,財務比率,損益分岐点,減価償却,在庫評価(先入先出法,後入先出法)


貸借対照表・損益計算書

企業は,経営の状況を株主,行政,取引先,銀行など社会に報告する義務があります。そのために決算をして財務諸表を公表します。その財務諸表の代表的なものが貸借対照表と損益計算書です。

貸借対照表は,決算時における資産や負債・資本を示すものです。単純にいえば,この時点で会社を整理したら,簿記上どれだけのお金が残るのかを示すものです。
 損益計算書は,先の決算から今回の決算までの期間(通常は1年間)での収入や支出を集計して,損益を明らかにするものです。
 それらのひな型と構造を次に掲げます。

貸借対照表
貸借対照表ひな型 貸借対照表構造

損益計算書
損益計算書ひな型 損益計算書構造

財務比率

貸借対照表と損益計算書から経営分析をするには,規模の影響を除外する必要があるので,比率を用いることが多いのです。その主なものを示します。

「○○対△△率」とは,「△△/○○×100%」の意味です。分子・分母を間違えないでください。なお,煩雑を避けるために,本文では「×100%」を省略しています。

収益性分析

いかに効率的に利益を得ているかの尺度になります。

資本(資産)に関するもの
総資本対経常利益率,経営資本対営業利益率などです。総資本とは,貸借対照表の資産合計のことです。そのうち,経営外資産(本来の経営活動に関係しない資産:建設仮勘定や投資など)を引いたものを経営資本といいます。なお,総資本対経常利益率のことをROI(Return On Investment)といいます。
売上高に関するもの
売上高対経常利益率,売上高対総利益率(総利益とは売上総利益のこと),売上高対売上原価率(単に原価率ともいいます)などがあります。
資本利益率=資本回転率×売上利益率
資本利益率=利益/資本
資本回転率=売上高/資本
売上高利益率=利益/売上高
ですので,上の式が成立します。

流動性分析

収益性が高くても短期の支払能力がないと資金繰りに困ります。流動性とは短期に現金化できる尺度です。なお,財務で短期とは1年以内,長期とは1年を超えることをいいます。

流動比率=流動資産/流動負債
これが100%以上ならば,1年間では支払能力があることになります。余裕が必要ですので120~150%が必要です。
当座比率=当座資産/当座負債
さらに短期間を対象にしたものです。当座資産=現金預金,受取手形,売掛金,有価証券など。 当座負債=支払手形,買掛金,短期借入金など。これが100%を超えていれば安全です。
自己資本比率=自己資本/総資本
これが低いのは借金経営をしていることであり,不安定で金利負担が高いことを示します。上場企業で30%~40%,中小企業で20~30%が現実のようです。
固定比率=固定資産/自己資本
固定資産とは1年以内に現金化されない資産です。これが100%以上だと,本来は運転資金に回すべき短期借入金を現金化しにくい土地・建物や設備に回していることを示します。(低いほうがよいことに注意)
固定長期適合率=固定資産/(自己資本+固定負債)
本来は固定資産は自己資本で賄うべきですが,長期借入金のような長期返済資金を利用すればよいと考えられます。これが100%以上になると固定比率よりも深刻な状態になります。

過去問題「損益計算書・貸借対照表・財務比率」(pl-bs-hiritu


損益分岐点

費用には,原料や加工費のように,販売数量すなわち売上高に関係する変動費と,一般管理費や固定資産のように,売上高とは無関係に発生する固定費があります。
 会計上の区分がそのまま変動費/固定費の区分にすることはできませんし,変動費が必ずしも売上高に比例するとは限りませんが,話を簡単にするために
   変動費=売上高に比例
   固定費=売上高に関係なく一定
であると仮定します。

売上高と変動費,固定費,利益の間には
   売上高=利益+変動費+固定費    ・・・ ①
の関係があり,下図のようになります。

損益分岐点図

この図からもわかるように,固定費により,売上高が小さいと損失になり,利益を得るためには売上高を大きくする必要があります。そして,損益が0になる点を損益分岐点といい,そのときの売上高を損益分岐点売上高といいます。

変動費率=変動費/売上高  → 変動費=変動費率×売上高  ・・・ ② と定義します,変動費は売上高に比例すると仮定しましたが,その比例係数が変動費率です。
 ①と②から,
   売上高=(利益+固定費)/(1-変動費率)   ・・・ ③
となり,損益分岐点では利益=0なので,
   損益分岐点売上高=固定費/(1-変動費率)   ・・・ ④
となります。

 

過去問題「損益分岐点」(soneki-bunkiten


減価償却

設備投資をしたとき,その費用を当年だけに計上すると大きな損失になり,その後はその設備による利益がそのまま計上されることになりますが,それでは実際の経営状況を知ることができませんし,税金の面からも不適切です。
 それで,その設備を用いている期間で費用を平滑化することが考えられます。それを減価償却といいます。償却の方法には,
   定額法:毎年同じ金額を償却する
   定率法:毎年同じ率で償却する
があります。

定額法 償却額=(取得価額-耐用年数後の残存簿価)/耐用年数

例:取得価額1000[千円]
  耐用年数5[年]
  5年後の残存簿価=取得価額の10%=100[千円]
のとき,
  償却額=(1000-100)/5=180[千円]
となるので,毎年の償却と残存簿価は次のようになります。
  年 期首残存簿価  償却額  期末残存簿価
  1  1000   180   820
  2   820   180   640
  3   640   180   460
  4   460   180   280
  5   280   180   100 償却終了
  6   100     0   100 ↓ これ以降は償却しない

定率法 期末の残存簿価=期首の残存簿価(1-償却率)

例:取得価額1000[千円]
  償却率=30%=0.3
  耐用年数5[年]
のとき,毎年の償却と残存簿価は次のようになります。
  年 期首残存簿価  償却額       期末残存簿価
  1  1000  1000×0.3=300 700
  2   700   700×0.3=210 490
  3   490   480×0.3=144 356
  4   356   356×0.3=107 249
  5   249   249×0.3= 75 174 償却終了
  6   100     0         174 ↓ これ以降は償却しない

除却損=残存簿価(+廃棄費用-売却価額)

耐用年数や償却率は,投資内容により法律で定められています。また耐用年数後は永久に残存簿価が残ります。いつかは帳簿から除却して残存簿価を0にするのですが,それを除却損といいます。
 そのときに廃棄に費用がかかるならば,「残存簿価+廃棄費用」になりますし,売却をしたならば,「残存簿価-売却価額」になります。

例えば,上の定額法で3年後に60[千円]で売却したならば,
   除却損=残存簿価-売却価額=460-60=400[千円]
になります。

過去問題「減価償却」(genka-syoukyaku


在庫評価(先入先出法,後入先出法)

売上原価では,今期売上の原料がすべて今期に仕入れたものではなく,前期からの在庫もあります。今期に仕入れた原料が翌期への在庫となることもあります。
 また,1年の間には仕入価格の変動があります。いつ仕入れた原料を用いたかにより,売上原価も変るし,在庫の棚卸額も変ります。

毎回使うたびにどの時点で仕入れた原料であるかをチェックする方法もありますが,事務量が多くなります。また,液体をタンク保管するような場合では,混合してしまうために物理的に不可能なこともあります。
 それで,全体をまとめて帳簿上で計算する方法がとられますが,その代表的なものに,先入先出法,後入先出法があります。
   先入先出法:先に調達した順に使ったとする
   後入先出法:後に調達したものから使ったとする

 次のような順序で調達されたとします。
   調達    単価[円/個] 数量[個]
   前期繰越     1     5
   仕入1      2     7
   仕入2      3     3
   次期繰越     4

消費量=前期繰越量+今期仕入量-次期繰越量
上の例では,消費量=5+(7+3)-4=11個となります。
先入先出法
      単価 調達量 消費量 在庫量 残り消費量 売上原価[円] 在庫評価額[円]
前期繰越   1  5   5   0   11   1×5= 5 1×0= 0
仕入1    2  7   6   1    0   2×6=12 2×1= 2
仕入2    3  3   0   3    0   3×0= 0 3×3= 9
             11[個] 4[個]          17[円]   11[円]
後入先出法
      単価 調達量 消費量 在庫量 残り消費量 売上原価[円] 在庫評価額[円]
仕入2    3  3   3   0    8   3×3= 9 3×0= 0
仕入1    2  7   7   0    1   2×7=14 2×0= 0
前期繰越   1  5   1   4    0   1×1= 1 1×4= 4
             11[個] 4[個]          24[円]    4[円]
     

過去問題「先入先出法・後入先出法」(fifo-lifo


その他の財務問題

初級シスアド試験では,上記以外に会計基準,原価計算,リース・レンタル,資金計画などの分野からの出題もありますが,あまりにも範囲が広いので,ここでは省略します。

過去問題「会計基準,原価計算など」(kaikei


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