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ポジショニング分析

ポイント

中小企業が大企業と全面的な競争をしたら負けるのに決まっています。経営戦略を策定するには,その業界における自社の位置づけを認識することが必要です。自社の位置づけと採用するべき戦略を検討するのがポジショニング分析です。

キーワード

ポジショニング分析,リーダー,チャレンジャー,ニッチャー,フォロワー


たとえば,社員5名程度の部品メーカーが大メーカーと同じ経営戦略をとることは不適切なように,自社がその業界において,どのような立場にあるのかを認識して,それに合致した戦略を考えることが必要です。それをポジショニング分析といいます。
 業界でのポジションは,リーダー,チャレンジャー,ニッチャー,フォロアーに区分されます。

リーダー

その分野において,市場シェアも大きく経営資源も高い企業です。自社がこのポジションにあるならば,次のような戦略が有効です。
 自社製品にこだわらずに,同様な製品の市場全体の拡大を図ることが必要です。その市場が成長すれば,シェアが高いのですから自然と自社製品の売上が増大します。
 売上が増大すれば大量生産やノウハウの蓄積によりコストが低下します。コスト的に他社より有利なのですから,価格競争をすれば簡単に他社をこの業界から抹殺できます。しかし,それは得策ではありません。高コストの企業があるので価格が高く維持できます。リーダーはそれにより大きな利益を得ることができます。他社を生かしておいたほうが有利なのです。「金持ち喧嘩せず」といいますが,競争を回避するのが戦略になります。
 それでも他社がシェアを高めてくるのを防衛することは必要です。それには価格ではなく,リーダーの製品が業界標準なのであり,ころがホンモノなのだという高イメージを作り出すのが効果的です。 (キリンの政策)

以下,うろ覚えの知識ですので,あるいは間違っているかもしれません。

昔,キリンビールは圧倒的なシェアを持っていました。キリンは,サッポロやアサヒとの差別化を強調するよりも,日本酒党をビール党に転向されること,女性にビールを飲む習慣をつけさせることに努力しました。
 圧倒的シェアにより,「ビール=キリン」というイメージが確立しました。

昔,富士通がコンピュータを売り出した頃,お客が富士通に「おたくもIBMを作っているのですか?」と聞いたそうな。

あなたは日常会話で「味の素」といいますか,「化学調味料」といいますか?

チャレンジャー

業界で2位・3位のシェアを持つが,全面的な経営資源ではリーダーに及ばない企業です。全分野でリーダーと競争したのでは負けてしまいます。しかし,自社の得意な分野に限定して,そこに経営資源を集中すれば,その分野だけではリーダーよりも強いので,競争に勝つことができ,その分野ではリーダーになれます。それをバネにして,将来は全面的なリーダーになることを目指すのが戦略になります。 (アサヒの政策)

アサヒビールはチャレンジャーでした。ラガービールではキリンの牙城を崩すことはできないので,新製品であるアサヒドライで挑戦し,ドライビールでキリンを破ってしまいました。しかも,ドライビールの普及により,現在ではビール全体でキリンとリーダーの座を争うまでになりました。発泡酒も同じような発想です。

ニッチャー

経営資源の量が乏しくシェアも低いのですが,限られた狭い分野では非常に優れた技術を持つ企業です。リーダーやチャレンジャーがあまり興味を持たない分野に経営資源を集中させるのが戦略になります。優秀な中小企業に多く見られます。

フォロアー

経営資源も乏しく特に優れた技術も持たない企業です。そのような企業では,リーダーやチャレンジャーが成功した路線を模倣することにより,おこぼれをいただこうという戦略です。かなり無気力なように見えますが,優れた(?)フォロワーになるには,かなりの能力が必要です。リーダーにもなれる大企業が,戦略的にフォロアー戦略をとることがあります。 (旧松下の政策)

大企業であっても新製品開発や新市場開拓でのリスクは避けたがります。それらははチャレンジャーあるいはニッチャーにやらせ,それが成功しそうになるとみるや,高度な技術力,強い販売力,豊富な資金力をもって参入し,市場を席捲してしまうのです。

最近の動向

最近の環境変化は,従来のポジションに大きな影響を与えています。いくつかの例を示します。

消費経済成熟化の影響
消費経済は既に成熟化しており,顧客のニーズは多様になり急激に変化しています。このような環境では,大量生産・大量販売ができませんし,高いシェアを持っていた製品が短期間で不人気になってしまいます。ですから,リーダーといえども,新製品開発や新市場開拓など,チャレンジャー性が求められます。逆に,フォロワー戦略の効果が得られない環境だともいえます。
グローバル化の影響
国内ではリーダーであっても,全世界ではもっと強い企業は多いので、全分野でリーダーになることは不可能です。そのため,巨大企業であっても,特定分野に集中するようになってきました。
インターネットの影響
ニッチャーの市場は小さいのですが,インターネットのより全世界を対象にしたときには,かなりの市場になります。しかも,インターネット取引では多くの店舗や事業所を展開する必要がありません。「インターネットは中小企業が大企業と互角に戦えるデジタル・オポチュニティを与える」といわれます。狭い地域ではニッチャーの顧客は少ないので,その分野での成長には限界があります。ところがインターネットにより全世界を相手にするならば,その分野の顧客は非常に大きいのです。特殊な高度な技術を持つことにより,世界の市場を独占する地位を築くことが可能なのです。
 

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