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システム開発のライフサイクル

キーワード

要件定義、外部設計、プログラミング、テスト、移行実施


IT全体計画に基づき個々の情報システムの開発が計画されてから、実施にいたるまでのプロセスをシステム開発のライフサイクルといいます。厳密な規格に、ISO/IEC 12207(JIS X 0160)共通フレーム2007(ソフトウェアライフサイクルプロセス、SLCP-JCF 2007)がありますが、ここでは慣習的に用いられている体系を示します。

要件定義
まず、IT全体計画からの要求、利用部門からの要求などを分析して、対象とする情報システムの範囲を明確にします。そして、その情報システムがもつべき機能を明確にするプロセスです。このプロセスは、主に発注者の任務です。
 要件定義は、システム開発の最初のプロセスです。これが不適切だと、開発した情報システムも不適切なものになります。また、要件定義が不適切なことが、後のプロセスで発見されると、手戻りが発生して、費用や納期に大きな影響を与えます。
注:「要求定義」と「要件定義」
  要求定義:利用者がシステムに要求する事項の内容を明確にすること
  要件定義:システム構築にあたって、システムにどの機能を取り込むかを明確にすること
 厳密には、要求定義→要求分析→要件定義のプロセスになります(参照:「要求、要件、機能」)。
外部設計(概要設計)
ここでの「外部」とは、コンピュータから見た外部のことです。開発すべき情報システムの仕様を、関係者に業務の表現を用いて記述した設計です。このプロセスでは、発注者と開発者が協力します。
 要件定義で示された要件を、システム開発の観点から分析して(要件分析という)、どのように情報システムに取り込むかを検討し、その結果を発注者と開発者が合意することになります。ここまでの範囲を基本設計あるいは上流工程といいます。
内部設計(詳細設計)
内部設計とは、外部設計の内容をコンピュータに実装するための設計で、主にプログラマ向けに作成されます。システムの分割、プログラムのロジック、データベースの構成などを示します。内部設計、プログラミング、テストの前半は、下流工程といいます。主に開発者の任務になります。
プログラミング
内部設計に基づいて、実際にコンピュータ上に実現するプロセスです。慣習的にプログラミングといいますが、データベースの作成やハードウェアの設置なども含みます。大部分は開発者の任務ですが、データの整備など利用者が行う業務もあります。
テスト
完成した情報システムが、正確な処理をするか、外部設計で合意した機能を実現しているかをテストします。個々のプログラム単体でのテストは開発者が中心となり、システム全体のテストは両者が協力して行います。最後に検収テスト(運用テスト)を行い、それにパスしたら利用者に引き継がれます。この間に、発注者は利用者への操作方法の説明や訓練をしておく必要があります。

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