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定期発注方式

学習のポイント

定期発注方式とは,たとえば毎月1日に発注するというように,発注間隔を一定にした発注方式です。発注量は次の次に入荷するまでの期間を対象とした需要(出荷)予測量と安全在庫量を算出することが必要になります。

キーワード

定期発注方式,安全余裕在庫量,指数平滑法


定期発注方式とは

定量発注方式は,毎回一定の量を発注し,その発注日は在庫量が発注点になったときですので,発注間隔は一定していませんでした。それに対して定期発注方式は,毎月1日になったら発注するというように,発注間隔を一定にして発注する方式です。出荷量にバラツキがありますので,毎回の発注量は発注のつど予測をして決めます。それで,この方式では発注量が毎回異なります。その発注量の求め方を理解します。

上図でわかるように,今回発注する量は,こんど入荷してから次の入荷があるまでの期間の出荷量になります。すなわち,調達期間(L)+発注期間(H)の期間の出荷予測をして,それに出荷量のバラツキによる安全余裕分を加え,それから現在の在庫量を引いたものが発注量になります。また,これまでに発注をしたうち入荷していない量のことを発注済未入荷量といいますが,発注済未入荷量があれば,今回の発注量から発注済未入荷量を引いておく必要があります。

 すなわち,発注量は次の式で表されます。
   発注量 = 予測期間での出荷予測量
       + その期間での安全余裕在庫量 (=ασ√L+H
       - 現在の在庫
       - 発注済未入荷量

公式の吟味

質問

ところで,どうして予測期間が「発注期間+調達期間」なのでしょうか? 次の発注期間よりも将来までを考えるのは長すぎて,発注期間あるいは調達期間としてもよいのではないでしょうか?

回答

話を簡単にするために,毎日の出荷量を一定とし安全在庫を考えないことにします。
 1日の出荷量を1個で一定とし,発注期間を5日,調達期間を3日とします。予測期間は5+3=8日になります。
 理想的な状況であれば,最初の発注日(0日)には,次の入荷日までの調達期間(3日間)の予想出荷量である3個の在庫があればよいことになります。したがって,発注量は予測期間中の出荷予測量8個から現在の在庫3個を引いた5個になります。
 毎日の状況を実際に計算すると表1のようになり,これが適切な発注方式であることがわかります。

質問の疑問は,発注量は予想出荷量から「現在の在庫量を引く」ことに留意しなかったのですね。ちょうどこれが調達期間の出荷量に相当するので,発注量は発注期間の予想出荷量に相当します。
 では,公式を「発注量 = 発注期間での出荷予測量 + その期間での安全余裕在庫量 - 発注済未入荷量」とすればよいと考えるかもしれません。しかし,「将来の出荷量が一定ではない」ので,それではうまくいかないのです。逆にいえば,定期発注方式は需要の変化が大きいときに適した方式なのです。

出荷量が最初の6日間は毎日1個だが,7日以降は毎日2個になるとします。
 第1回の発注日では予測期間の出荷予定量は1個×6日+2個×2日=10個となり,第2回では1個×1日+2個×7日=15個,第3回以降は2個×8日=16個になります。
 この場合は表2になり,やはりこの方法が適切であることがわかります。

なお,発注済未入荷量がどのような意味を持つかは,発注間隔よりも調達期間が長いときを想定してみればわかると思います。1日の出荷量を1個,発注間隔を3日,調達期間を5日とし,第1回発注日(0日)では,在庫量は5個,発注済未入荷量はないものとします。
 このときの毎日の状況は表3のようになります。

上の計算表

指数平滑法

出荷予測量を求めるには,その製品の特徴や季節変動など多様な環境を考慮して決めるのですが,考慮すべき特別な理由がないときには指数平滑法がよく用いられます。

 最も単純な一次の指数平滑法では,次のようにして予測します。
 (「現在」をt期の終了時,t+1期の開始時とします)。
   t+1期の予測値=a×t期の実績値+ (1-a)×t期の予測値
          =t期の予測値+a×(t期の実績値-t期の予測値)
    a:平滑化定数  0<a<1
    a=1とすれば:t+1期の予測値=t期の実績値
    a=0とすれば:t+1期の予測値=t期の予測値

たとえば,t期開始時にt期の出荷量を100と予測したのだが,実際には110であったとき,a=0.3とすれば,t+1期の予測値=100+0.3×(110-100)=103となります。

需要予測には,最小二乗法や移動平均法などもポピュラですが,それらは過去の長期間の実績値を必要とします。それに対して,指数平滑法ではt期の予測値と実績値のデータだけがあればt+1期の予測値が簡単に求められるのが特徴です。 (指数平滑法は加重平均であることの説明)

実は,指数平滑法も過去のデータを活用しているのです。
    t期の実績値をxt
    t期の予測値をyt
とすると,上の式は
   yt+1 =yt+a(xt-yt)
と表現できます。同様に,
   yt =yt-1+a(xt-1-yt-1)
   yt-1 =yt-2+a(xt-2-yt-2)
        :
   y3 =y2 +a(x2 -y2 )
   y2 =y1 +a(x1 -y1 )
ですから,これより,
   yt+1 =axt+a(1-a)xt-1+a(1-a)2t-2+・・・+a(1-a)t-11
が得られます。
 ここで,a=0.5とすれば,
   y=0.5xt+0.25xt-1+0.13xt-2+0.06xt-3・・・・

すなわち指数平滑法とは,最近の実績のウェイトを大きく以前の実績のウェイトを小さくした過去データの加重平均なのです。


理解度チェック

第1問

  1. 次の条件のとき,定期発注方式によるt+1期の発注量を計算しなさい。
      H:発注間隔(=30[日])
      L:調達期間(=6[日])
        (以下の1期はH+L=36日とする)
      Y:t期の出荷予測値(12×36=432[個/36日])
      X:t期の出荷実績値(15×36=540[個/36日])
      a:平滑指数(=0.2)
      σ:1日の出荷量の標準偏差(対象期間の1日平均出荷量×0.2[個/日])
      α:安全係数(=1.65:危険率5%)
      G:現在の在庫量(=200[個])
      Z:発注済未入荷量(=50[個])   

      t+1期間の出荷予測量=t期の予測値+a×(t期の実績値-t期の予測値)
         =Y+a×(X-Y)
         =432+0.2×(540-432)
         =453.6[個/36日]
      1日の平均出荷量=453.6/36=12.6[個/日]
      1日の出荷量の標準偏差=12.6×0.2=2.52[個/日]
      予測期間での安全余裕在庫量=α×σ×√L+H
         =1.65×2.52×√30+6
         =24.9[個/36日]
      発注量= 予測期間での出荷予測量(=453.6)
         + その期間での安全余裕在庫量(=24.9)
         - 現在の在庫(=200)
         - 発注済未入荷量(=50)
         = 453.6+24.9-200-50
         = 228.5[個]