DMBOK(DAMA Guide to the Data Management Body of Knowledge:データ管理知識体系)とは、DAMA(Data Management Association International:データ管理の専門家の団体、本部米国)により策定された、データ管理に関して、機能、用語、ベストプラクティスを整理したものです(入手方法)。日本では、データ総研が教育機関に認定され、普及にあたっています。
データ総研は、2010年3月にDMBOKの日本語訳を行い、講習会(有料)を開催しています。英語版フレームワークは、DAMAのサイトから無料でダウンロードできます。2010年4月現在は
Ver.3.02版になっています。
データが経営に重要な資産であることはいうまでもありません。その管理が不適切だと、
・どのようなデータがどのような形式で保管されているのかわからない
・ほしい情報が得られない(業務横断的情報入手するのにコード体系が異なる)
・データの内容がわからない(買い戻しデータの処理など)
・データの一元管理ができない(得意先追加などの整合性がない)
などのため、情報の有効活用ができません。
それを解消するには、データ管理を統合的な観点からマネジメントすることが必要です。しかも
・ビジネス的な観点
・IT的(データベース技術的)な観点
を、統合的に管理することが必要です。それをデータマネジメントといいます。
DMBOKは、データマネジメントの推進に関するベストプラクティスを体系化したものです。
DMBOKの体系は、次の10のファンクション(管理機能)からなっています。
- データガバナンス(Data Governance)
データマネジメントを戦略的な観点から計画し実行の管理を行う機能で、以降の各データマネジメント機能を統制する。
- データアーキテクチャ管理(Data Architecture Management)
全社的な観点から適切なデータモデルを決定し、その改訂を行う。
- データ開発(Data Development)
具体的なデータモデルを設定し、それによりデータベースの設計し、実装する。
- データベース運用管理(Database Operations Management)
データのライフサイクルを支援する。パフォーマンス管理など
- データセキュリティ管理(Data Security Management)
セキュリティ対策の計画作成や監視など
- 参照およびマスタデータ管理(Reference & Master Data Management)
多様な用途に合致するように、コード体系やマスタファイルの構成を設計・実装し、一元的に管理する。
- DWHおよびBI管理(Data Warehousing & Business Intelligence Management)
DWHおよびBIなどで必要となる業務横断的なデータの管理。利用状況を分析して改良を行う。
- ドキュメントおよびコンテンツ管理(Document & Content Management)
データ管理、データベース解説書などの文書やコンテンツの管理など、改訂管理も含む
- メタデータ管理(Meta Data Management)
データの命名基準、データ構成などの標準化、その周知方法など
- データ品質管理(Data Quality Management)
データの信頼性、重複の防止などデータベースの品質の管理
DMBOKでは、各ファンクションについて、7つの観点(Environmental Elements:環境要素)から説明しています。
- 目標と原則(Goals & Principles)
各ファンクションの業務での目的を明確にして、推進における基本的な原則を示す。
- 活動(Activities)
各ファンクションは、アクティビティ、タスク、手順に分解される。
- 成果物(Deliverables)
ファンクションの実施により作成される一般的に推奨される物理的データベースと文書のリスト
- 役割と責任(Roles and Responsibilities)
ファンクションを効果的に実施するための業務側とIT側の役割と責任
- 実施と手順(Practices & Procedures )
成果物を作成するための、広く利用されている手法や手順の説明
- 技術(Technology)
支援ツールのリスト、その標準やプロトコル、選択基準、学習曲線など
- 体制と文化(Organization and Culture)
データマネジメントを推進するための体制、管理指標の策定、主要成功要因、推進組織など
10のファンクションは、約100のアクティビティに細分化され、さらにタスク、手順に細分化されています。そして、それらのアクティビティは、それぞれP(Planning:計画)、C(Control:管理統制)、D(Development:開発)、O(Operational:運用)に区分されています。