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規格、標準化団体


標準化・規格

規格とは
特定のメーカーや機器の間でしか正しく通信できないのでは不便です。電力のコンセントにはどのような電気機器も接続できます。これは、コンセントの寸法や電圧などが標準化され、その仕様が規格として明確になっており、多くのメーカーがそれに合致する製品にしているからです。
 規格は強制的なものではありません。しかし、規格に準拠していることが認定されると認定マークを付けることだ許され、取引が有利になります。
デジューレスタンダード(デジューレスタンダード)
公的な標準化団体によって規定された公的規格です。
国内規格には、日本産業規格(JIS=Japanese Industrial Standardsの略)、国際規格にはISO、ANSI、IEEEなどの標準化団体による規格があります。
これらの間に矛盾があると混乱を招きます。そのため、国際規格が策定・改訂がなされると、国内規格や業界規格もなるべくそれに整合性をもたせるようにしています。
デファクトスタンダード
ある企業が策定した仕様が業界で広く利用されている事実上の標準になったものです。例えば、OSIモデルはISOで策定されたデジュアスタンダードで、Windows や Linux などはデファクトスタンダードです。
 なお、TCP/IPやSQLのように、デファクトスタンダードが後になってからデジュアスタンダードとして追認されることもあります。
フォーラムスタンダード
特定の技術や製品分野などに関係する企業や専門家などによる業界団体(フォーラム)が設定した標準仕様です。代表的なフォーラムにはW3CやIETFなどがあります。

IT関連の代表的標準化団体

ANSI
ANSI(American National Standards Institute:米国規格協会)
 米国の国内の工業分野の規格を策定する民間の標準化団体
IEC
IEC(International Electrotechnical Commission:国際電気標準会議)
 電気工学、電子工学、および関連した技術を扱う国際的な標準化団体。米国に本部をもつ。その標準の一部はISOと共同開発されており,ISO/IEC規格となっています。
IEEE
IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers:米国電気電子技術者協会)
 米国に本部を持つ電気・電子技術の学会。LANに関する標準規格 (有線=IEEE802.3シリーズ,無線=IEEE802.11シリーズ)など。
IETF
IETF(Internet Engineering Task Force)
インターネットで利用される技術(TCP、IP、HTTPなど)の標準化を推進する任意団体。
ワーキンググループが作成した仕様は、RFC(Request For Comments)とい文書で公開される。国際規格とは性格が異なり、仕様を細部まで固めず、実験や実運用を通して仕様を実装する(Rough Consensus and Running Code)方式を採用。
ISO
ISO(International Organization for Standardization:国際標準化機構)
 電気分野を除く工業分野の国際的な標準規格。OSI参照モデル,ISO9001など
製品やサービスがこれらの規格に準拠していることを認証する制度(国際認証)もあります。
ITU-T
ITU-T(International Telecommunication Union Telecommunication Standardization Sector:国際電気通信連合 電気通信標準化部門)
 国際連合の機関。通信分野の標準をITU-T勧告という形式で標準化
JEC
JEC(Japanese Electrotechnical Committee:日本電気学会 電気規格調査会)
 電気機械器具・材料などの標準化
JIS
JIS(Japan Industrial Standard:日本工業規格)
 工業標準化法に基づいて、すべての工業製品について定められる日本の国家規格。情報分野はX部門,品質分野はQ部門にまとめられています。JIS漢字コードのような日本独自の規格もあるし,ISO規格と整合性をもたせてJIS規格にしたものもあります。
JSA
JSA(Japanese Standards Association:日本規格協会)
JISの開発、普及、啓発活動を行っています。JISマークの認定機関です。
NIST
NIST(National Institute of Standards and Technology:米国立標準技術研究所)
国立の計量標準研究所であるが、下部組織にITL(Information Technology Laboratory:情報技術研究所)があり、暗号技術やAI技術などの標準化を行っている。
OMG
OMG(Object Management Group)
 分散処理の共通仕様COBRAなどオブジェクト指向技術の標準化を進めている業界団体。
W3C
W3C(World Wide Web Consortium)
 HTMLやXMLの仕様など,WWWで利用される技術の標準化をすすめる団体。

JISの性格

JIS(Japanese Industrial Standards、日本工業規格)とは、工業標準化の促進を目的とする工業標準化法(「JIS法」と呼ばれる)に基づき制定される国家規格です。
 「適正且つ合理的な工業標準の制定及び普及により工業標準化を促進することによつて、鉱工業品の品質の改善、生産能率の増進その他生産の合理化、取引の単純公正化及び使用又は消費の合理化を図り、あわせて公共の福祉の増進に寄与する」ことを目的としています(第一条)。

対象となる分野は、工業製品に関する用語、仕様、品質など全般に及ぶだけでなく、漢字コードやマネジメントシステムまで広範囲です。JIS X は情報部門、JIS Q はマネジメント部門です。
 しかし、食品(JAS、日本農林規格)や医薬品(日本薬局方)など、他の国家標準が存在するものはJISの対象外です。

同法により設置された日本工業標準調査会(JISC)が、JIS化の検討を行っています。JISは、主務大臣(経済産業大臣)により制定されますが、調査会の議決が必要です。
 JISは、任意標準です。JISに適合しない製品の製造、販売、使用などを禁ずるものではありません(行政機関等での物品購入や公共工事などでは強制されるものもあります)。JISに適合した製品には、JISマークの使用が許されるので、製品の信頼を高めることができます。