スタートページ主張・講演経営者・利用部門のためのIT入門第5章 情報セキュリティ対策

情報セキュリティ対策は全員参加活動


情報セキュリティ対策では「桶の理論」の認識が重要です。桶の1か所に穴があると、そこから水が流れ出してしまいます。水面の高さ、すなわち桶の容量は穴の位置で決まります。
 どんなに高度な対策をしても、どこか1か所に脆弱性がある(セキュリティホールという)があると、そこから脅威がインシデントになってしまいます。情報セキュリティへの脅威は多様です。とかく「情報」セキュリティというと、コンピュータやネットワークが対象でIT部門の仕事だと思われがちですが、全社的取り組みとして対処しなければなりません。

情報セキュリティ対策推進に関するアンケートでも、「全社員の認識の向上」が常に上位になっています。
 三菱総合研究所、日本情報システム・ユーザー協会「経済産業省委託調査 情報セキュリティガバナンス実態調査2008」2009年によると、「情報セキュリティ対策取り組み上の状況、貴社の情報セキュリティ対策取り組みについて困っている事項として、「社内の啓発・教育」「セキュリティ予算の確保」などが上位になっています。

日本ネットワークセキュリティ協会「情報セキュリティインシデントに関する調査報告書(2007年度版)」では、2007年における個人情報漏洩事件について、漏洩媒体比率(件数)では紙によるものが40.4%、USBメモリなどの可搬記録媒体によるものが12.5%であり、これだけで全体の過半数になっています。
 また、漏洩原因比率(件数)では、紛失・置忘れが20.5%、管理ミスが20.4、誤操作が18.2%など、盗難が16.6%など不注意や過失による漏洩が多くを占めています。

情報システムのトラブルでも、利用者が原因になることが多くあります。ここでは、経営者にポピュラーではない例を掲げます。