小売業、クレジットカード、会員カード、個人情報、One-to-Oneマーケティング
マーケティングを効果的に行うには、個々の顧客(個客)の満足を高めることが大切です。それには、誰に、何を、いつ、どれだけ販売したかの情報を得る必要があります。POSシステムでは、何を、いつ、どれだけ販売したかの情報は得られますが、「誰に」が得られません。性別や年代別など簡単なものならば,レジで入力することもできますが,氏名や住所などの個人の情報を得ることができません。
顧客情報を入手するには、会員カードやクレジットカードなど、カードシステムをPOSシステムと連動させるのが効果的です。ここでは、これらカードについて、主に小売業の立場から考察します。
代金支払による区分
直接には代金支払に関係しないカード
会員カード、ポイントカード等
代金支払に用いるカード
前払:プリペイドカード
後払:クレジットカード
同時支払:デビッドカード
デビットカードとは、銀行等のキャッシュカードを、店頭で暗証番号を入力すると、即時に顧客の口座から店の口座に代金が移されるようにしたものです。
カードと個人情報
会員カードやポイントカードでも、氏名と住所程度は得られますが、詳細な個人情報を得ることは困難です。それに対してクレジットカードは、利用者の信用に基づくので、加入申請時に詳細な個人情報を得ることができます。小売店からみたとき、クレジットカードは次のように区分できます(実際には、この間に多様な形態がありますが、省略します)。
他社カード
VisaやMasterCardのように、クレジットカード会社が発行したカード
自社カード(ハウスカード)
石油や百貨店のカードのように、自社が発行し、原則として自社でしか使えない
他社カードでは、誰が利用したかはわかるが、申請時の情報はわかりません。自社カードなら、個人情報保護法により制限がありますが、申請時の詳細情報が使えます。しかし、顧客の個人情報を預かり、財産に関係するので、そのシステムを構築・運用するのには多大な費用がかかります。
このように、個人情報を入手すること(「顧客の顔が見える」といいます)は、小売業のマーケティングにとって重要なのです。Web販売で特典があるのは、受注業務が省力化できることもありますが、氏名、住所、メールアドレスなどの個人情報が得られるからです。また、懸賞などを行うのも同じ理由です。
個人情報が乱用されると個人に迷惑がかかるので、個人情報法により個人情報の取扱について、法的な制限があります(参照:「個人情報保護法」)が、ここでは省略します。
他社カードを例にして、カードの申し込みから、代金決済までの手順を簡単に説明します。
クレジットカード会社が店舗に代金を支払った後で、利用者から代金を受け取ることのですから、店舗は必ず代金を受け取れますが、クレジットカード会社は利用者から受け取れないリスクが生じます。すなわち、クレジットカード会社は代金取立てのリスクを負っているのです。それで、クレジットカード会社は、審査を行って、不良会員を加入させないようにするのです。
クレジットカード会社の主な収入は、加盟店からの手数料収入(代金の3~7%程度)と、会員からのキャッシングやカードローンの手数料収入です。クレジットカード会社が利益を向上させるには、多くの会員を獲得してカートを多く利用してもらうことが必要です。それで、カード利用に多様な特典をつけているのです。
審査を緩くすると不良会員が増大しますし、厳しくすれば会員を増大させることができません。それでクレジットカード会社では、審査が重要な業務で、データマイニングなど多様な分析にITを駆使しています。
他社カードの場合は、加盟店では利用者の特性データを得ることができません。それに対して、自社カードを発行することにより、利用者の特性データと購買履歴データを組み合わせた分析が可能になります。自社カードの場合は、会員募集の業務や代金取立てのリスクなど多大な費用が生じますが、それでも個人情報を活用する効果のほうが大きいと判断している企業も多いのです。