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全体最適の観点から体系的に情報化をマネジメントする方法であるEA(Enterprise Architecture)について,「業務・システム最適化計画」をベースにその体系の概要を学習します。
EA(Enterprise Architecture),ザックマンのフレームワーク,FEAF,業務・システム最適化計画,政策・業務体系(BA:Business Architecture),データ体系(DA:Data Architecture),適用処理体系(AA:Application Architecture),技術体系(TA:Technology Architecture),現状モデル,理想モデル,次期モデル,参照モデル
参照:「EAの発展経緯」 (std-ea-keii)
民間企業では,ビジネスアーキテクチャのままで,経営戦略の明確化とかビジネスモデルの策定というほうがわかりやすいでしょう。対象となる業務・システムの範囲と最適化の方向性を優先順位をつけて明確に示す体系です。この体系で作成されるドキュメントには,業務説明書,機能構成図,機能情報関連図,業務流れ図があります。
データ体系とは,業務を遂行するための情報処理に必要となるデータ及びデータ間の関係を示す体系です。個々の業務の処理に基づいて情報システムを構築するよりも,対象とする業務全体で必要となるデータを洗い出して整理することにより,全体最適のシステムにすることができます。
業務を遂行するための情報処理に関し,データ処理と業務との関係を示す体系です。必要とされる処理機能をモジュールという細かい機能に分解します。これにより,共通機能をまとめたり,参照モデルで提供されるモジュールを利用することができます。
適用処理体系の方針に従って,それを実現するためのネットワーク,ハードウェア,ソフトウェアなどの技術を具体的に明確化します。技術参照モデルを参照して,理想モデルや次期モデルで採用する技術を決定します。
あくまでもデータ体系や適用処理体系に従って採用する技術を検討するのが正当ですが,現実には技術発展の成果を取り入れることも最適化には重要ですので,技術体系がデータ体系や適用処理体系に影響を与えることもあります。
全体のEAプロダクトの一覧は左のようになります。特にハードウェア構成図,ソフトウェア構成図および情報システム関連図は,技術動向の発展や設計や開発により変化するので,次期モデル,理想モデルについては設計開発に合わせて順次作成します。
ここまでで次期モデルの仕様が決まりました。それを実施に移すまでの具体的な工程を図示します。業務・システム最適化計画では最適化工程表といっています。
工程表には,全体を示したもの,そのなかの部分的な作業について詳細を示したもの,近時点の工程を詳細に記述したものなど多様なものがありますが,マクロからミクロに階層的に展開することが必要です。
実際にプロジェクトを円滑に運営するためには,プロジェクトマネジメントの体系がありますが,ここでは省略します。
次期モデルを策定するには,政策業務参照モデル(BRM)と自組織での検討が必要です。自組織の検討では,まず企業の目的(Mission)と経営での原則(Principles)を明示することが必要です。そして,業務環境分析(SWOT分析)をして主要課題(CSF)を決定するなどにより,また,業績測定参照モデル(PRM)を参照することにより,実際の行動計画(アクションプラン)を作り,それにより,何をどのレベルにまで到達させるかを管理する項目(コントロール目標)を定めます。このようにして策定した目標(ToBe)と現行(AsIs)のギャップや目標達成への段階を考慮して,次期モデルの政策・業務のありかたを策定します。
次にデータ体系や適用処理体系を策定しますが,そのときにデータ参照モデル(DRM)やサービスコンポーネント参照モデル(SRM)を参照します。DRMには,対象とする業務で必要なデータの構造が示されています。SRMとは,業務をシステム化するのにあたって,それに類似した情報システムあるいはその部品の一覧です。
データ体系や適用処理体系に影響を与えるのが技術体系です。ハードウェア,ソフトウェア,ネットワークなど情報技術の動向から検討する必要もありますし,開発や運用の方法など全社的な観点から標準化を推進する観点で検討する必要があります。そのときに参照するのが技術参照モデル(TRM)です。
組織を取り巻く環境は激変していますし,情報技術の発展は急速です。組織内外でのEAの認識も変化します。また,十分に検討して構築した次期モデルも,実際に運用したときに多様な不都合が生じることもあります。そのために,EAは一度策定したらそれに向かって猪突猛進すればよいものではなく,常に状況をチェックして軌道修正することが大切です。
マネジメントの手法にPDCAサイクルがあります。これはP(計画)-D(実施)-C(チェック)-A(対処)のサイクルをまわすことにより,計画と実施の違いを早期に発見して,実施の仕方を変えるとか,次の計画を見直すことで,以前から広く認識され活用されている手法です。
そのPDCAをEAの運営で考えれば,「管理体制とコントロールの確立」-「アプローチ」-「現状モデルの作成」-「理想モデルの作成」-「次期移行計画の策定」-「EAの利用(実施)」-「EAの保守」-「モニタリング・コントロール」と分解できます。これをEAサイクルといいますが,EAサイクルを円滑にまわすことが,EAの効果をあげる基本となります。
EAサイクルを円滑にまわすには,参照モデルの整備,成功(失敗)の事例,各部局の状況など多様な知識をデータベースにしておき,それを組織の全員が必要に応じて参照できるようにしておく必要があります。