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法規基準
監査一般
キーワード
監査、非監査組織、監査人、検査、統制、内部統制、認証、法定監査、任意監査、外部監査、内部監査、監査役監査、会計監査、業務監査、三様監査、会計監査人監査、監査役監査、内部監査部門監査
監査とは
監査(audit)とは、企業の経営活動とその結果について、遵守すべき法令や社内規程などの規準に則っているかどうかの証拠を収集し、その証拠に基づいて、監査対象の有効性を利害関係者に合理的に保証することです。
監査対象になる業務を担当している組織を被監査組織といい、監査する人を監査人あるいは監査組織といいます。監査人は被監査組織から独立していなければなりません。
- 監査と検査
検査(inspection)とは、「何らかの基準に照らして、異常や悪い所がないかどうか調べること」です。監査は、検査の結果を分析して判断し報告することなので、検査は監査の一部分だといえます。
しかし、法律用語としては、法令または契約に基づいて、
・業務の実施状況を正確に把握するために、当事者の内の監督的立場にある者が行うもの(立入検査など)
・会計(経理)の適正を確保するために行われるもの(会計検査など)
・対象となる物やサービスの品質、規格、等級等を確認するために行われるもの(品質検査など)
としているので、検査=監査だともいえます。
- 監査と統制
「内部統制(Internal Control)」とは、企業が健全に事業活動を行うためのルールや仕組みを制定し運用すること全般を指す言葉です。
会社法:会社の設立、組織、運営及び管理について定めたもの
金融商品取引法:と、有価証券の発行や売買などについて定めたもの
により、内部統制の実施と報告が義務付けられています。
金融庁は、内部統制について4つの目的と6つの要素を挙げています。
4つの目的
業務の有効性及び効率性
財務報告の信頼性
事業活動に関わる法令等の遵守
資産の保全
6つの要素
統制環境
リスクの評価と対応
統制活動
情報と伝達
モニタリング
内部監査とは、内部統制がしっかり機能しているかチェックをすること、すなわち、「モニタリング」を行うことです。つまり、内部監査は内部統制の一要素だといえます。
- 監査と認証
認証(authentication)とは、例えばプライバシーマーク制度とは、組織が個人情報保護のマネジメントシステムがその要求事項を定めた規格(JIS Q 15001)に適合していることを、資格を持つ第三者の審査機関が審査を行い、審査に合格した組織に認証機関(付与機関)が JIS Q 15001 適合性認証をして、プライバシーマークの表示を認めるという制度です。
この「審査」が監査(外部監査)だといえますが、
評価条件が規格・基準として公示されていること
監査する第三者機関の能力がに認められていること
最終評価は適合性が満たされているか否かであること
合格組織が「認証」されること
などの特徴があります。
監査の種類
法的義務の有無による区分:法定監査、任意監査
- 法定監査
法定監査とは法令等の規定によって義務付けられているものです。金融商品取引法に基づく監査、会社法に基づく監査があります。代表的なものに会計監査があり、これが行われないと決算ができません。
- 任意監査
任意監査とは法定監査とは異なり法律等の規定で義務付けられていない監査のことをいいます。そのため、監査を受けなくてもよいし、監査の方法も自由です。代表的なものにシステム監査があります。
任意監査を受けることにより、自社の内部統制の現状把握、改善すべき事項と改善への助言を得ることができます。
目的と監査人による区分:外部監査、内部監査、監査役監査
- 外部監査
組織体の内部または外部の利害関係者のために、組織体から独立した外部の専門家によって実施される監査です。法定監査は全て外部監査で、監査人は公認会計士です。任意監査でも、監査対象分野での専門的能力を必要とするときは外部監査にします。
- 内部監査
内部監査部門・内部監査人など、組織内部の人ですが、他の組織内部門から独立した立場の人による任意監査です。
組織体の経営目標の効果的な達成に役立つことを目的として、経営諸活動の遂行状況を、合法性と合理性の観点から公正かつ客観的な立場で検討・評価し、これにもとづき特に改善を重視して助言・勧告を行ないます。
- 監査役監査
監査役が、取締役の法令や社内規程を軽視した行動をチェックして、助言・勧告を行ないます。
また、会計監査と業務監査を行ないます。
監査の内容による区分:会計監査、業務監査
- 会計監査
会計監査人(公認会計士ないし監査法人)による法定監査です。
経営者の作成した財務諸表が、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、企業の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況をすべての重要な点において適正に表示しているかどうかについて、監査人が自ら入手した監査証拠に基づいて判断した結果を意見として表明することです。
- 業務監査
会計業務以外の業務活動(組織や制度等)に対する監査で、業務手順の整備状況、運用状況を監査します。
シュアランス活動:監査調書を作成し、監査報告を行います。
コンサルティング活動:監査報告の結果を受けて具体的な改善活動を支援します。
会社法に基づく三様監査:会計監査人監査、監査役監査、内部監査部門監査
- 会計監査人監査
会計監査人は監査法人や会計事務所等で監査を実施する主体は公認会計士です。
会計監査人は、会社の計算書類及びその附属明細書、臨時計算書類並びに連結計算書類を監査し事業年度ごとに「監査報告書」を作成して、株主に通知します。
財務・会計部門の監査が主であり、業務については監査しません。
- 監査役監査
監査役は、会社の取締役の職務執行での決定事項が法律に抵触していないか、判断は妥当かを意見を述べる職務です。
実際の監査は、取締役会など重要な会議に参加し、取締役の判断の適法性、妥当性を確認します。情報を収集するために従業員へのヒアリングや棚卸立会いなども行います。
監査役会として監査の結果を年に一回会計監査人監査と同様に「監査報告書」にまとめ、株主に通知します。
- 内部監査部門監査
上場企業では内部統制評価を行うことが法令で定められています。その実施部門として、経営者直属の内部監査部門が設置されます(法的には任意)。内部監査部門は、従業員の業務活動すべてを監査範囲とします。会計監査は「月次決算の有用性や迅速性」、業務監査は「効率性・適正性・不正行為の発見」等が主になります。