Webユーザビリティの定義
Webアクセシビリティが、Webページを閲覧するときに、高齢者や障害者がもつハンディキャップをなくすことであるのに対して、Webユーザビリティは一般の人が利用する際の便利さのことを指します。
ISO 09421-11、JIS Z8521(人間工学-視覚表示装置を用いるオフィス作業-使用性の手引き)では、ユーザビリティとは「特定の利用状況において、特定のユーザーによって、ある製品が、特定の目標を達成するために用いられる際の、有効さ、効率、ユーザーの満足度の度合い」と定義しています。
- 有効さ(Effectiveness)
- ユーザが指定された目標を達成する上での正確さ、完全性
- 効率(Efficiency)
- ユーザが目標を達成する際に、正確さと完全性に費やした資源
- 満足度(Satisfaction)
- 製品を使用する際の、不快感のなさ、及び肯定的な態度
内閣官房「電子政府ユーザビリティガイドライン」(後述)では、Webユーザビリティとして、この3つを次のように定義しています。
利用の有効さ:やりたい作業を確実に達成できるか
利用の効率性:作業を短い時間で達成できるか
利用者の満足度:利用した人が、また利用してみたいと思うか
Webユーザビリティの評価
Webユーザビリティの評価には、モニターにタスクを与えて実験する方法が広く用いられています。
- 質問表による利用感想
「使い勝手がよいか」とか「わかりにくい点は何か」などの質問に答えてもらうことにより、一般的な評価が得られますし、具体的な改良点の指摘も得られます。
- 実際の利用測定による方法
目的の情報を得たり、取引を完了したりするために要した時間、クリックの回数などを測定する方法です。このときに、思ったことを口に出しながら操作してもらうことにより、とまどった個所などを知ることができます。
時間での評価尺度にNE比(Novice Expert ratio)があります。設計者(そのWebサイトをよく知り、Web閲覧にも習熟している人)が目的を達成するのに要する時間と、モニターが要した時間の比率です。これが小さいほどユーザビリティがよいといえます。一般目的の場合では、NE比が4~5以下であることがよいとされていますが、効率を重視する場合や間違いが大きなトラブルになる場合には2以下にすべきだといわれています。
本ガイドラインは、中央官庁のオンライン申請システム等のユーザビリティに関して、効果的かつ継続的な向上を図るために、新規開発や保守をする際に、企画、設計・開発、運用及び評価の段階で利用することを目的としたものですが、一般のWebサイトにも適用できます。
本ガイドラインでは「共通設計指針」として、次の13項目を掲げています。
- 利用手順
1 利用者が想定する流れに沿った手順にする
2 業務プロセス及び申請書等の様式の見直しにより、最小限の操作、入力で申請等ができるようにする
- 画面の構成
3 見てすぐ何をすればよいかが分かるような画面や手順にする
4 無駄な情報、デザイン、機能を排し、シンプルで分かりやすい画面にする
- 指示や状態のわかりやすさ
5 操作の指示や説明、メニュー等には、利用者が正しく理解できる用語を使用する
6 基本的な用語、指示、デザインには一貫性を持たせる
7 手続を行っている時に、システムが処理している内容を利用者がすぐ分かるようにする
- エラーの防止と処理
8 利用者が操作や入力を間違えないデザインや案内を提供する
9 確認画面を用意し、利用者が行った操作や入力の取り消し、やり直しが、その都度できるようにする
10 エラーが発生した時には、利用者が迷わずに問題の解決をできるように、必要な情報と手段を提供する
- ヘルプ
11 利用者が必要とする時に、ヘルプ情報やマニュアル等を利用できるようにする
- その他
12 情報提供については、言葉遣い、メニューの分類・順番や必要な情報の有無に配慮し、必要な情報が容易に理解できるようにする
13 障害者や高齢者に配慮し、日本工業規格JIS X 8341シリーズ、0004153/ISO/IECガイド71、「みんなの公共サイト運用モデル(総務省)」に準拠した設計を行う
本ガイドライン(付属文書にも)では、モニター実験を実施するときの人選、アンケートや実験方法などに関しての解説もしています。
また、本ガイドライン策定に先立ち、典型的な申告業務を対象に行った「電子政府ユーザビリティ基本調査」(2009年)は、その具体例として参考になります。