システム形態
オープン環境では,多数のパソコンがLANで接続されています。その代表的な形態を示します。
- ピアツーピア
- 2台のパソコンが互いに直結している形態と,数台のパソコンがハブを介して接続している形態があります。
互いのパソコンは対等であり,一方のパソコンから他方のパソコンにデータを転送したり,互いのパソコンのソフトやデータを操作したりできます。小規模のLANに向いています。
NapsterやGnutellaなど、不特定多数の個人間で直接に音楽ファイルなどのやり取りを行なうインターネットの利用形態もピアツーピア(PtoP)といいますが、ここでのピアツーピアとは異なります。
- クライアントサーバシステム(CSS)
- 利用者がそれを通してサービスを要求するパソコンをクライアントといい、その要求を受けてサービスを行うパソコンやワークステーションをサーバといいます。なお、そのような形態のシステムをCSS(Client-Server System:クライアント・サーバシステム)といいます。一般的にはLANはCSSの形態になっています。
サーバーには、その用途により多様なものがあります。プリンタを共同利用するプリンタサーバ、Webページを保管して提供するWebサーバ、電子メールのためのメールサーバなどがありますし、販売システムや会計システムなどの業務を行う多様な業務サーバがあります。
- 3層構造
- 情報処理は次の3機能に区分することができます。
- プレゼンテーション
- 操作者とコンピュータの接点。命令やデータの入力や結果の表示の機能。
これがクライアントの機能になります。
- ファンクション
- 実際の処理。アプリケーションプログラムなどの実行機能。
この機能を担当するサーバをアプリケーションサーバといいます。
- データ
- ファンクションの実行に必要なデータの保管機能。
この機能を担当するサーバをファイルサーバ、データベースサーバといいます。
この3つの機能を論理的に分離した形態を3層構造といいます。
CSSでは,プレゼンテーションはクライアントの機能ですが,ファンクションやデータは,クライアントでもサーバでも機能を持つことがあり,その境界はあいまいでした。いうなれば,2層構造でした。
それを3層化することにより,サーバ構成の変更が容易にできること,クライアントにはブラウザだけがあればよいことなど,多くの利点があり,大規模なシステムでは,これを採用する傾向があります。
最近では、Webサービスで、M(モデル)、C(コントローラ)、V(ビュー)のMCV3層構造が注目されていますが、ここでの3層構造とは異なります。
イントラネット
このような形態は、1980年代末からのダウンサイジングの動向に伴って普及しましたが、当時は多様なLAN制御のシステムが混在していました。1990年代中頃から,インターネットが急激な普及・発展をしました。インターネットの技術(TCP/IPとWebブラウザ)を社内LAN環境に利用した形態をイントラネットといいます。現在のLANはほとんどイントラネットになっています。
イントラネットにすることにより、次の効果が得られます。
- TCP/IPを採用することにより、インターネットと同じ通信環境になります。
・クライアントとサーバが異なるOSでも接続できます。
・社内ネットワークと社外のインターネットがシームレスに連動できます。
両者の利用のたびに接続しなおす必要がなくなります。これは、事業所間での情報交換に大きな効果があります。
反面、外部からの不正アクセスへの対処など、セキュリティ対策が重要になりました。
- 多くのアプリケーションが、利用者とのインタフェースをWebブラウザにするようになりました。
・操作方法が、利用者が慣れている方法に標準化されます。
・クライアントにアプリケーションごとのソフトウェアをインストールする必要がありません。
ソフトウェア管理やバージョンアップなどの作業を低減できます。
参照:
「インターネットによるTCOの削減」
クライアントの種類
- ファットクライアント
- クライアントには通常のパソコンを用いるのが一般的です。
通常のパソコンには,いろいろなソフトウェアが搭載されていますし,ディスクには多様なデータが入っています。また,DVDやUSBスティックなど取り外しのできる媒体の記憶装置があります。このようなクライアントをファット(fat:太ったの意味)クライアントといいます。
- シンクライアント
- ところが,3層構造やイントラネットを進めれば,ファンクションやデータはすべてサーバに置き,サーバで処理をした結果の画面をクライアントで表示するだけで業務が行えます。それで、クライアントにはプレゼンテーション機能としての画面表示機能だけを置けばよいことになります。このようなクライアントをシン(thin:痩せたの意味)クライアントといいます。最近ではセキュリティ対策を目的としたシンクライアントが重視されており,それに必要な機能を加えたものをセキュア(secure:安全な)クライアントといいます。
- リッチクライアント
- リッチクライアント(Rich Client)には,未だ統一された定義はないのですが,単純にいえば,ファットクライアントとシンクライアントとの「いいとこどり」をしたような形態です。 リッチクライアントでは,パソコンで処理できることは,サーバに接続しなくてもクライアント側で処理できるようにします。それにより,パソコンで作るのと同様なきめの細かい画面にしたり,優れた操作性を持たせることができます。また,ネットワーク接続は必要なときだけ行い,常時はパソコン内部での処理になるので,処理速度もWebクライアントより高速になります。Web2.0の動向と一致しており,今後の動きが注目されています。
参照:
「クライアントの発展」
サーバとは論理的概念
サーバとは、特定のハードウェアを指すのではなく、機能という論理的な概念であり、ソフトウェアにより実現されます。
いくつかのサーバ機能を1台のパソコンに搭載していることもありますし、一つのサーバ機能のために数台のパソコンを用いることもあります。ファイルサーバやプリントサーバなど,機能ごとに別のコンピュータに分ける必要はありませんし、データが多数のコンピュータに分散しておかれていることもあります。
いいかえれば、サーバは,必要に応じて処理の一部を更に別のサーバに要求するためのクライアント機能をもつことがあるともいえます。
プリントサーバ
1台のプリンタを、LANで接続されている数台のパソコン(クライアント)で共有するとき、そのプリンタを制御するサーバをプリントサーバといいます。
パソコンからのプリント要求があると、プリントすべきデータはプリントサーバに転送され、その要求はいったん待ち状態におかれます。そして、プリンタの稼働状況により逐次出力されます。そのため、パソコン側はプリント要求を行った後は通信を切断することができます。
プリントサーバを用いるためには、サーバ側に共有資源設定をしておく必要があります。また、TCP/IP環境のLANならば、プリントサーバにIPアドレスを設定をしておく必要があります。
特定のパソコンに直結したプリンタも、そのパソコンをプリントサーバにすることにより共有できますが、そのパソコンをシャットダウンしたりLANから切断したりしている場合は、他のパソコンからの要求は受け付けられません。
3層構造の利点の具体例
単純にいえば、アプリケーションサーバはプログラムが入っているサーバ、データベースサーバはデータが入っているサーバです。2層構造では、これらの区別があいまいであるのに対して、3層構造では明確に区分しています。
また、アプリケーションサーバのなかには、クライアントからの要求を解析して、どのアプリケーションサーバに置かれているどのプログラムを呼び出すかを判断する機能(ブローカー機能)をもっていることもあります。
3層構造の利点を、データベースを用いるWebページ閲覧を例にして説明します。
まずクライアントからWebサーバへ要求が出されます。Webサーバはそれを解析して、CGIを用いてWebアプリケーションサーバにあるプログラムを呼び出します。そのプログラムは、必要に応じてデータベースサーバから該当するデータを取り出して、求める処理を行い、その結果をWebサーバに戻します。Webサーバは、その結果をHTML(Webページ用のテキスト)に変換して、クライアントへ送ります。そして、クライアントはブラウザで画面に表示します。
このようにWebサーバ以外にWebアプリケーションサーバやデータベースサーバを置くことにより、システムの変更,増強が容易になります。また、アクセス量が増大したときには、Webアプリケーションサーバやデータベースサーバを増強して、負荷配分すればよいので、スケーラビリティを高くすることができます。
しかし、多くの場合はこれらのサーバはハードウェアの分散になります。そのため、サーバ間でのデータ転送量が多くなる欠点があります。